2007年3月、千葉県市川市のマンションで、英会話学校の講師で、イギリス人女性のリンゼイ・アン・フォーカーさん(当時22歳)の遺体が見つかった事件で、千葉県行徳署は市橋達也容疑者(30)を殺人と強姦致死の疑いで再逮捕しました。事件直後、市橋容疑者は逃亡していましたが、09年11月に逮捕されました。 市橋容疑者を巡っては、sns(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のmixiで、応援コミュニティができ、その中には「市橋ギャル」と呼ばれる女性たちも現れました。中でも最も参加人数が多い「市橋達也さん応援コミュニティ」には、8日現在で2757人が参加しています。一方、mixi内では、アンチコミュニティができ批判も起きています。 応援コミュニティを見てみると、市橋容疑者の逃亡前の顔写真が貼られています。案内文には「私たちは事件の一刻も早い解決を願っています」とあり、また、「コミュニティの主旨」が書かれています。 1)人道的観点から警察の捜査取り調べとマスコミの一方的な報道に対する疑問。 2)市橋達也さんが最近気になる。なによりイッチーの容姿が好きで、長期の逃亡生活や事件の背景にも関心がある。 3)市橋さんの社会復帰を願う。捜査に協力し過ちを償いぜひ社会復帰してほしい たしかに、1)は、この市橋容疑者に限らず、すべての刑事事件において気をつけなければいけません。しかも、裁判員制度ができ、一般市民が刑事裁判に参加できるようになったことで、いっそう、犯罪報道のスタンスには気をつけなければいけませんが、相変わらず、犯人視報道が続いています。そのため、これには説得力があります。 しかし、2)の「なによりイッチーの容姿が好き」という項目が過度に取り上げられことで、批判派には「イケメン無罪!」などと揶揄されたことも、話題になる一因だったと言えるでしょう。 そのため、「dqnじゃん」「リンゼイの親父が知ったらどうなることやら」などと批判も相次いだ。韓国でも報道され、「世の中でも最も異常な国、それが日本」「こいつらネズミのノミと同じ」などの意見もあったといいます。 もちろん、論理だけで批判し、誹謗中傷や嫌がらせをしない批判派もいます。犯罪者を支援するといったことへの違和感だけでなく、「叩きやすい」と思われる対象を見つけて排除するといった雰囲気を醸し出し、炎上させることで、ストレスを発散しているかのような人たちもいます。 さて、私は、この応援コミュニティ内で、減刑のための嘆願署名を呼びかけた女性に話を聞くことができた。 なぜ市橋容疑者を応援するようになったのでしょうか。 「私の彼氏がキャバクラ嬢に騙されていて、私自信も以前キャバクラで働いていたこともあり、女の醜さを嫌というほど知っているんです。市橋さんもリンゼイさんに騙されたのではないかと思っているからです」 なぜ、市橋容疑者がリンゼイさんに騙されたと思ったのだろうか。 「ニュースでみたのですが、殺される前の日にふたりで仲良く買い物をする姿が防犯カメラに映っていたそうじゃないですか。
それに、成人している男女で一人くらしの男の家にノコノコあがり込むのは、いくら家庭教師でもおかしいとおもいました。そういう事(=体の関係?)があるかもしれないって思って一人暮らしの男性の家には上がるのが普通ではないでしょうか。
またよく聞くのが外国人の英会話教師が日本の男性とセックスしたくて、そういう英会話教師をして家にあがりこみ、セックスしまくるという話も度々聞いていました。
リンゼイさんに疑念を持ち、ひょっとして市橋さんはリンゼイさんに騙されたのではないかなと思うようになりました」 もちろん、市橋容疑者がリンゼイさんに騙されたのではないか、というのは、一つの仮説です。まだ、市橋容疑者が何も語らないために、事件の動機は見えてきません。しかし、こうした仮説に立つとすれば、容疑者に同情的になり、支援することもあり得ると私には思えました。 たしかに、英会話の講師が日本人の生徒をナンパするという話は、私も聞いたことがあります。リンゼイさんがそうだったのかどうかは、今のところ不明です。しかし、部屋で家庭教師をするという密室での男女2人に、何らかのトラブルがあったとしてもおかしくありません。 もちろん、死体遺棄のみならず、殺人という罪を犯したのなら、市橋容疑者は償うべきです。しかし、そうだとしても、なぜ殺人に至ったのかはまだ分からないのです。この女性のように、「もしかしたら、彼だって被害者ではないか?」と、市橋容疑者の側に立つ仮説もあっておかしくはないのです。 市橋容疑者は、犯行当日、警察官を振り切って、逃亡していた凶悪犯というイメージがついてしまっています。だからこそ、市橋容疑者を応援するコミュニティを批判することも分からなくもありません。しかし、応援する女性たちに対して、非論理的な中傷や、嫌がらせが起きています。私たちの社会は、異論を唱える人たちへの寛容さが失われているのではないでしょうか。 私たちは犯罪を憎むのも大切ですが、犯罪をなくすために、なぜ事件が起きたのかを考えなければいけないと思うのです。私は、この女性を通じて教えられた気がします。単に、「応援するのは頭がおかしい」「応援するのを辞めろ!」では、何も解決しないのです。
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