「シルバーウイーク」って何?
〜大型化する日本の連休〜
日本では「ゴールデンウイーク」といえば、四月下旬から五月上旬にかけて複数ある公休日に土日が重なってできる「五月の大型連休」を指す。普段長期休暇を取ることのできない会社勤めの方たちがこぞって海外や行楽地へと旅立つ時期である。
ただし旅行には最適の麗しいシーズンでもあることから、旅行代金はぐっと跳ね上がるのが庶民にはつらいところだ。
ところで先日、旅行業界の方から「シルバーウイーク」という言葉を聞いて「おや?」と思った。いつの間にそんな言葉が出来たのだろうと。
調べてみると「シルバーウイーク」という言葉は今年あたりから使われるようになったらしい。
この「シルバーウイーク」は五月の「ゴールデンウイーク」に対応する形で、九月下旬の公休日に土日が重なってできる「秋の大型連休」を指すようだ。
「シルバー」といえば「シルバーシート(電車などで老弱者のために優先される席)」の連想から「お年寄りに配慮する」というイメージがあるが、このシルバーウイークには連休期間中に「敬老の日」が挟まることからの発想でもあるそうだ。
このように秋にも大型連休が出現した背景には、日本の「祝日」に関する法律の変遷がある。
<振替休日という概念>
私が子供だった頃、休日が日曜日に重なってしまった時は「不運」だとガッカリしたものだ。せっかく学校が休みになるのに日曜と祝日が重なってしまうと祝日の効力は無くなってしまうからだ。
ところが1973年に法律が改正され、「祝日が日曜日の場合、その翌日の月曜日が休日となる」ように改められた。私が高校生の時である。
このように祝日と重なって休みになる日を「振替休日」と言うが、これによって連休が増える結果になった。
(ちなみにこの制度が適応されていない国は韓国、スウェーデン、ウズベキスタンなどがある)
更に後には会社や学校が週休二日制になって土曜日も休日になったことから、三連休というまとまった休みが増える結果になる。
<ハッピーマンデーの導入 >
その上、2000年頃から曜日が固定されていた国民の祝日の一部を付近の月曜日に移動させるという制度ができた。これを「ハッピーマンデー」と呼ぶ。
たとえば以下のようなものがある。
- 成人の日 1月15日・・・1月の第二月曜日(2000年から施行)
- 海の日 7月20日・・・7月の第三月曜日(2003年から施行)
- 敬老の日 9月15日・・・9月の第三月曜日(2003年から施行)
- 体育の日 10月10日・・・10月の第二月曜日(2000年から施行))
これによって、以前は「飛び石連休」だったものが「大型連休化」することが多くなった。
現に今年9月の「シルバーウイーク」は土日を含め、21日の「敬老の日」、22日「国民の休日」、23日「秋分の日」の5連休となっている。
ハッピーマンデーは「連休が多ければ旅行に行く人が多くなり、経済効果が期待できる」とした時の政府の思惑により制定されたものであったが、こう景気が悪くてはおいそれと旅行に行く気分にもなれない。
現に今年の五月の連休などはこれまでに類を見ない長期連休であったが、途中にある出勤日も不景気の影響で雇用側が休日にしてしまい、結果的に無理矢理の長期休暇になったケースも多くあった。
また、このように日にちが決まっていた休日を、連休にすることを目的に近くの月曜日にむやみに移動してしまうことには、「本来の休日の意味が無くなる」という反発もあると聞く。
このように連休が増えるのは結構なことだが、まずは新政権には是非とも景気の回復を期待したいところである。
そうでなければいくら連休が多かろうと、私達も家でただ無為に過ごすばかり。経済に寄与することなど少しもできないからである。